小さい頃からお正月は母が琴を弾き、私が舞い、 家族で百人一首をしてきました。
料亭の娘だった母は、私が高校生になるまで「女将さん」修行の芸事を仕込みたがりましたが、私は気が進まず、どれも中途半端に終りました。
当時百人一首の意味も解らず、朗々と読み上げられる上の句から
いち早く下の句の書いてあるカードを拾ったものです。
最近になって、あの美しい和歌を思い出し、読み返して楽しんでいます。
「恋心」を読んだものが多く、若かった頃にダブらせて、納得したり懐かしんだり。出張の飛行機の中も、小野小町や紫式部の世界が広がります。
★めぐり逢ひて 見しやそれとも分かぬ間に
雲隠れにし夜半の月影 紫式部
★瀬を速はやみ 岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思う 崇徳院
★天つ風 雲の通ひ路吹き閉じよ
乙女の姿しばしとどめむ 僧正遍昭
★君がため 春の野に出でて若菜摘む
わが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇
5月6日(全日空ホーチミン行き機内にて)
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