#381 成人式の思い出 (1月1日)

「成人の記念に、一生の思い出になる経験を!」と、両親は振袖の代わりに現金をくれました。
物では無く、心に残る「経験」にお金を使う事が条件でした。

「スイスの山のてっぺんから、スキーで滑り降りたい!」
いざヨーロッパへ、スイスアルプスへ!
旅行雑誌で航空券を買い、ホテルは電話で予約・・・DIYが条件です。
48年前は直行便など無く、当時チューリヒまでの飛行時間は30時間。
クリスマスに羽田〜香港〜カラチ〜アテネ〜フランクフルトそしてやっとスイスのチューリヒに到着。
初めての海外、たったひとり旅の2週間。
チューリヒから電車に乗って、グリンデルワルドへ向う車内では、緊張と不安に押しつぶされそう・・・半ベソをかきながら車内放送を聞き入りました。
登山電車の出発駅にほど近いペンションにチェックインして、やっと生きた心地になったのを、昨日の様に覚えています(笑)。

名前と電話番号を刺繍した母の手製のセーターは、遭難しても見つかる様にと派手な赤。
毎日それを着て登山電車に乗り、山頂から宿泊していたペンションまで一日がかりで滑り降りました。
20歳の私には何もかも美しく新鮮で、2週間の滞在ががあっという間に過ぎました。
帰路は充実感と達成感でいっぱい。
行きの泣きべそは何のその。

そんな訳で、私のタンスには振袖がありませんが、心のタンスには亡き両親からの「思い出の旅」が生きています。
目に障害を持つ私に、勇気と自信を持って生きて欲しいと贈ってくれてくれたお祝に、今も感謝しています。

1月元旦

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